おそるおそる2人の側へ

おそるおそる2人の側へ

世界が凍り付くのがわかった。
2人とも倒れたまますぐには動かず、恐怖がわたしの心を締め上げた。
まわりの人たちも動けなかった。
父もAも、わたしにとって大切な人だった。
確かめに行くのがこわかった。
打ち所が悪かったら? 父がA の上に落ちて、Aを押しつぶしていたら……。
もしこのまま、2人とも動かなかったら――。
だがそれは、本当は一瞬だったのかもしれない。
2人が動きはじめると、凍っていたその場の空気が溶けた。
わたしはおそるおそる2人の側へ行った。
 

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