さっと手で階段を

さっと手で階段を

誘導者がアナウンスミスをすると、父は壁にぶつかったり、ものにぶつかったり、階段から足を踏み外すこともありました。
一度外国で階段から足を踏み外した父を、父について回って下さっていた現地の方が、組み合わせた両手をさっと父の足元に差し出し、事なきを得たことがありました。
外国では特に、父のまわりには父に随行する人がたくさんいましたが、恥ずかしながらあの方のように父をフォローできた者は、他に誰もいませんでした。
自分の手を階段代わりに差し出した、あの方の自然で素早い動きに、深く感銘を受けたのを覚えています。
 

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