危険にさらされるのは……
誘導に失敗し、父の体をものや壁にぶつけると、父に「もっと集中しなさい」と怒られることがあった。
「危ないだろう」と。
そのときのニュアンスは、「お前も危ないだろう」というもので、言われたときわたしは理解できなかった。
確かに誘導に失敗すると、父がわたしにぶつかってしまうことはあった。
父の方が身長も高く体重もあるため、場合によっては転ぶ可能性がある。
だが、その程度のものだと軽く考えていた。
しかし誘導の失敗は父だけでなく、誘導している人も危険にさらされるのだと、このときはっきりと悟った。