父を”診断”した裁判所

父を”診断”した裁判所

控訴審の弁護人は、接見が可能になって以来、父の状態について裁判所に報告していました。
しかし裁判所は、関心を持たないか、無視をしているように見えたそうです。
弁護人は、裁判所に接見時の状態を報告するだけでなく、精神科医が作成した意見書を添付し、精神鑑定と、公判手続き停止の申し立てを行いました。
意見書は2004年10月26日付け、11月5日付け、12月10日付けの合計3通を提出しました。
内容は、「精密検査と治療の必要性」を指摘したものだったそうです。
しかし、裁判所は医師の意見書も無視し、同年12月10日、控訴審の須田裁判長含む裁判官2名と書記官が東京拘置所を訪れ、「控訴趣意書提出に関する手続き教示」と称して、父と面会しました。
以前弁護人に聞いた話によると、このとき父が乗った車いすは、失禁して床を汚す恐れがあるため、マットを敷いた上に置かれたそうです。
失禁とは、小便あるいは大便などを自分の意思によらず排泄してしまうことをいいます。
つまり、父は排出のコントロールすらできないという前提の元で、裁判長から「手続き教示」を受けました。
家族であっても、父とは一切の意思疎通が不可能なのです。裁判長とだけ会話が成り立つ道理がありません。
しかし裁判所は、父が相づちのような音を発することをもって、父が「受け答え」をしたことにしました。
相手が理解しているかどうかを確かめられない以上、それを受け答えと断定することはできません。
にもかかわらず、裁判所は父が「手続き教示」の内容を理解しているようだったと、つまり正常であると、"診断"をしたのです。
※弁護人の活動や裁判所の対応などは、「獄中で見た麻原彰晃」(インパクト出版)の「麻原彰晃氏控訴審の経過概要」を参考にしました。
 

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