経行(2)
外で経行する場合、誘導者は手摺り代わりのロープなどで誘導して歩きました。
最初は長めの木の枝で試したのですが、結局はロープに落ち着きました。
誘導者や父のすぐ横を歩く人が、「大きな石があります。溝があります。階段が始まります」とアナウンスをしながら歩くのです。
しかしロープを手摺り代わりにした経行は、誘導者の体の動きを感じにくいことと、かなりの速度で歩くため、危険を伴いました。
例えば誘導者が坂を登るときの体の傾き具合、何かを避けるときの体の動きも、父にとっては重要な情報でした。
そのため、父はロープだけで経行することができないときは、やむを得ず片手でロープを持ちつつ、もう片手でわたしを杖代わりにすることもありました。